Niwakaの注目アーティスト(2022年2月)
Niwaka的注目アーティストを不定期に紹介していきます。
Kross Section
Keijuとktskmの二人組で京都を中心に活動するトラック・メイカー・ユニット。
高音でチューニングされた”Keep it Movin’ On”のフレーズがクセになる。その他に発表されている楽曲にも共通するUKガラージ、ハウス感のあるキラキラとしたサウンドは思わず踊りだしたくなること請け合い。各曲のジャケット画像にあしらわれたピンク色が良く似合う!
setta
身体の中で鳴っているかのような極上のサウンド・エフェクト。
まるで喉や、耳や、眼底の中に、突然音が発生してくるかのような体験。
LoFi Hip Hopにも通ずる浮遊感のあるメロディはパンデミック下、自粛ムードの漂う今日の空気にもどこかマッチする部分がある一方で、イージー・リスニングと簡単に片付けられないビート・アプローチが素晴らしい。
Hyuga
Rocket of the Bulldogsでのバンド活動を経て、関西を中心に活動をするソロ・アーティスト/パフォーマー。
ポエトリー・リーディングという歌唱スタイルと感情をむき出しにした歌詞からは当初MOROHAを連想もしたが、MOROHAのギター一本のプロテスト・フォーク的な熱血さに対して、Hyugaの楽曲は繊細な鍵盤と打ち込みのビートをバック・トラックに、切実ながらもどこか透明感のある歌声が乗っているのが特徴的だ。
歌詞への比重が大きい表現方法なので日本語がわからないともどかしい部分もあるかもしれませんが、彼の声が持つ切実さは非日本語話者のあなたにも伝わるはず。
恐らくライブでこそ良さがわかるアーティストだと思うので、知ったような言葉を並べ立てるよりも、まず実際のパフォーマンスを見に行きたい。
yard rat
熊本を中心に活動する5人組バンド。
日本のエモシーンの正統継承者だなと思えるアーティストです。1stCD『fingerspot』、名盤です。
未来への不安と期待を焦燥感いっぱいに歌い上げる「Shinonome」、激情エモ直系のスクリーモ・ナンバー「Nope」、GOING UNDER GROUNDとも並べたい清涼感と直情をないまぜにした「Lucky Strick」、青々しいシンガロングとラストのリーディングが涙を誘う「道標」などなど。
地方都市熊本の路面電車、街を流れる河岸や周りの山々が夕日で赤く染まっていく、そんな景色をずっと想起させられた。
「エモい」が一般化してしまった今、彼らのような存在こそが本当の「エモい」なんだと声を大にして訴えたい。
発狂ボーイズ
コロコロコミックを買いに500円握り本屋に行った
コロコロは480円、20円余裕があるから駄菓子屋で10円ガムを2つ買って調整した
本屋に着いてコロコロと480円を得意げにレジに置いた
けど、その月は特別号500円でお金が足りないよって言われた。
何故かとても悔しくて泣いて歩いて帰ったそのころの歌 pic.twitter.com/JbQlDA3gOB
— 発狂ボーイズ (@hakyoboyz) November 1, 2021
石川県金沢市を中心に活動するロックバンド。「ポップにバグろう田舎日常生活の歌」と自らを自称している。本人たちは意識していないかもしれないが、”知らない町の人たちに/聴かせてあげる田舎を”と歌った同郷のめんたんぴんのスピリットを継いでいるようにも見えて、そうだとしたら熱いななどと勝手に考えている。
公式音源はまだのようだが、twitter上にアップされていた『コロコロコミックと港町の本屋』はまさに地方在住の若者の子供時代の郷愁と現在を歌っている。”金曜年末ドラえもんスペシャル/灯油の匂いが好きだった”とメディアを通じた共通体験を用いた歌詞など、普遍的な暮らしの切り取り方が上手い。歌詞の世界観を引き立てる音作りも巧みで、『夏に溺れる』の四つ打ちのドラムとギターのリバーヴなどは海辺の町のきらめきとかったるさを感じさせる。