SUGEEインタビュー/世界を回り辿り着いた、癒しと循環の音楽

テクノロジーの音を加えることで、曲に温かな世界観を吹き込む

-ここまで伺ってきた伝統的な音楽を、都市的/現代的なものとミックスするという手法が自分のやり方なんだと思うようになったとのことですが、現代的な方面からのリファレンスにはどのようなものがありますか?

SUGEE:最近でいえば、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)のアレンジとか、バックトラックが好きです。鋭さよりも調和とか優しさを人が求めているのを感じているんですが、それがわかってる感じがしますね。あとはDJ キャレド(DJ Khaled)とか。

僕自身が20、30代くらいまでクラブ・ミュージックが好きで、よく聞きに行ってたんですよ。フランソワ・K⁴(Francois K)など、フランスのハウスDJも好きでした。
ハウス・ミュージックは今でもずっと聴いてて、人の手が加わることによって、逆にあったかくなるというのがあると思うんです。
打楽器と歌声だけだと猛々しい感じというか、残酷に聞こえる時があるというか。人によっては、耳慣れない寂しさを感じてしまう人もいるかもしれない。例えば、僕は一人で砂漠にぽつんといたら心地いいんだけど、ある人からしたらそれは少し寂しさを感じてしまう情景かもしれない。
そこに、人の温もりとか、人の作ったテクノロジーの音、耳慣れた音を入れることによって、より安心してもらえる。そういう世界観になるというのがあると思うんです。

今回リリースした『花神』に収録されている「じょんがら節」も、三味線と打楽器と声だけだったら、ちょっと遠いものとして捉えられてしまうかもしれないけど、ハウスみたいなアレンジしてあげることによって、より親近感が増して、自分に近いものとして聴いてくれるだろうなと思ったんです。

1970年代後半からハウス、ダブ、テクノなどのダンス・ミュージック・シーンで活動を続けているフランス人DJ/アーティスト。

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