2017年のポップ・シーンにおいてロックの立場は本当に肩身の狭いものとなっていた。
ヒップ・ホップや大味のポップスが若いリスナーたちの耳を確実に捉える中、ロックンロールという音楽は新しいスタイルを提示できないままもがいていたというのが、個人的な印象だ。そんな中だろうと、この『Dawn On』は聴いた者に”ロックはな、最高にカッコいい音楽だ”と断言させてくれるアルバムである。
マエソン(Vo/Dr)のどこか気怠くも、ジワリとした熱量を感じさせるボーカルに加えて、ギャング・オブ・フォーなどのポスト・パンクを土台とし隙間のある音作りを生かした、ガレージ・バンド・サウンドのグルーヴがたまらなくかっこいい。元来よりリフを強みとしてきた8ottoの良さに年齢を重ねた色気が合わさって、武骨でありながらも艶やかさを感じさせるサウンド・スケープが心を鷲掴みにする。
『Rolling』の冒頭では、≪働いて ぐらついて/逃げたいって 星を見る≫と呟くように歌われる。前作から6年という空白期間、セールス的に恵まれず、生きていくために音楽以外の人生ともシビアに向き合いながら、それでも音楽に対する情熱を消すことの無かった男たちの人間味や人生が、今作の艶やかさを醸し出すエッセンスになっているのだと思う。各所で語られているように、盟友gotchのプロデュースが、友人としても、トラックメイカーとしても重要だったであろうことも忘れてはいけないだろう。
最後に暴論を承知で言わせてもらおう。
「好きなものはロックっすねー」と普段言ってる小僧たち、今の8ottoを聴かずしてお前にロックが好きだなんて俺は言わせない。